ニューカッスル・ダラム英語勉強会

イングランドのニューカッスル大学およびダラム大学に留学に来ている日本人達による英語学習の一篇。

firm up

ネイティブ・スピーカーから来たメールから英語表現を拾います。

Let me know a time once your plans are firmed up.

赤字のPVですが、これは雰囲気でもわかりますね。よく身体などが「鍛える」などで使用されますが、ここでは「〜を確定する」という意味合いで使用されています。LDOCEの定義ですと"to make arrangements, ideas etc more definite and exact"とあり、つまり「煮詰める」という感じですね。

余談ですが、「煮詰める」という日本語もよく「行き詰まる」という意味で使用されている例が散見されますが、本来は「議論や検討を重ねて結論を出す」という意味です。

Yusuke

wurstにかかっているもの

The Economistから表現を取り上げます。


The world economy: Weaker than it looks | The Economist

Fearing the wurst

The euro area is in a far bigger mess than the headline figures suggest because its growth has long been flattered by Germany. Italy has been in recession for two years; France’s economy has been stagnant for months. Now that Germany is in trouble, the chances of a Japan-style deflationary spiral have risen sharply. German policymakers remain pigheadedly opposed to the stimulus the euro area needs. Even as their own economy has stalled, they are determined to balance the budget in 2015. They want to force France to cut its deficit, they show little interest in a euro-wide investment scheme, and their opposition explains why the ECB is going so slowly with a bond-buying scheme to address deflation. The quantitative easing that markets expect is months off, if it happens at all.

さて記事の小見出しにあるwurstとは何でしょうか?ずばり「ソーセージ」のことですね。安易なことではございますが、「ドイツ」を指しています。ここで音読をしてみると気付く方も多いと思いますが、ここではworstにかけています。つまり「ドイツ経済を恐れる」と「最悪なことを怖がる」という2つの意味があるわけです。もっと言うと「ドイツがもしもっと不安定になったら…」ということを指しています。

Yusuke

blanket

んー、この表現は知らなかったです。今話題の香港の民主派のデモのニュースから。


The Revolution Will Not Be Instagrammed

As Hong Kong's streets rock with protests and what many feel is a draconian police response, Chinese cyberspace is erupting with bitter complaints about yet another instance of blanket censorship. On Sept. 28, Chinese web users were furious over the shutdown of popular photo-sharing service Instagram, which went suddenly offline in China following the eruption of pro-democracy protests in the special autonomous region of Hong Kong that police tried to quell by volleying tear gas at the crowds.

赤字のblanket。名詞では「ブランケット、一面に覆うもの」なんて出てきます。実は動詞もあって「毛布でおおう;一面に覆う(with)」なんて意味があります。そして今回使われている形容詞ですと「《名詞の前で》例外なしの、全面的な〈意見・禁止・規制〉、すべての人を対象とした、包括的な、差別なしの」とあります(『ウィズダム英和』初版)。

やはり面白いのはblanketにネガティブなニュアンスが備わっていて、「何かを隠す」という行為を感じられることです。例えば、Pocket Oxford Dictinaryの第三版(1939年のおじいさん辞書!)では動詞の意味の中に"cover with; (colloq.) stifle, keep quiet, (scandal, question); toss in blanket as punishment"とあります。Oxford Dictionary of Englishですと形容詞で"covering all cases or instances"、動詞で"cover completely with a thick layer of something"とあります。もうちょっとわかりやすいのを見てみると『ウィズダム英和』では「〈比喩的に〉(単数形で)《絶望や沈黙などの》広がり(of)」とあります。こちらの方は現在のどの辞書にも見られる用例でしょう。

もうちょっと調べてみると、blanketは見た感じblankと似ていますね。blankの語源は、皆さんもご存知の通りフランス語のblancです。白という意味ですね。そのblancがblanquet (白いウールのもの)になり、ドイツ語に伝わりblanketになりました。英語のblankもちょっと空虚なニュアンスがありますね。

ここで本文に戻ってみると、「中国本土の全域に渡る検閲」と訳すにはもったいないくらいの余白があることに気付きます。とにかくここで感じられるのは、簡単には抜け出せないような検閲の霧がもう一度中国本土を覆ったことです。

そうそう見出しはあるソウル・シンガーでポエトリー・リーダーの名盤から。超名曲なので一聴の価値ありです。The revolution will not be televised!

Yusuke

bags of〜

今度見に行こうと思っている劇評から英語表現を拾います。

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The Roaring Girl review – 'A spirited start to the RSC's heroines season' | Stage | The Guardian

bags of...というこの表現。英検2級くらいでしょうか。意味は、「たくさんの〜」といった感じのイギリスの口語表現です。グーグルで検索してみると例が結構見つかりますね。bags of love, bags of joy, bags of hope...。

ほかにもコーパス(British National Corpus)で調べてみると、50件の結果が得られました。例えば、"Have you got any bags of dried fruit?" (KCN, 5804)とあります。調べてみた結果、会話でも書き言葉でも使用されている印象を受けます。

ちなみに、自分のもっている会話のデータを調べてみましたが、該当する表現は出てきませんでした。といっても私のデータは、①英語の第二言語話者
、②美術館のプロジェクト、③ジョーディーのどれで、たまたま出てこなかっただけかもしれません。

まあ、こんな表現もあって、気の利いた表現であることがわかりました。Yusuke

not be set in stone

ついでに、もう一つ、ボスからのメールで遭遇したフレーズ。not be set in stone。まぁ、これは読んで字のごとく、で理解しやすいんですが、自分への覚書もこめて、紹介しておきます。

Obviously these are not set in stone but were the outcome of discussions.

(挙げられた)項目は本決まりじゃないけど、議論の結果でてきたものだよ、ということのようです。Cambridge Onlineでは、

to not be fixed and able to be changed:
例文)These are just a few ideas - nothing is set in stone yet.

という意味で紹介されています。イディオム集や熟語集を使って頭からすべて覚えていくことも大事ですが、Nativeが使っているのをSpotして、自分が使えるようにしていくのも重要ですよね。でわでわ。

Ken

on the home straight (stretch)

Supervisorとメールをやり取りしている際に出てきたフレーズ。今週の火、水曜に論文を書くのに必要なデータが揃いそうなのを考えて、木曜のミーティングに向けて送ってきたものです。

I'm looking forward to Thursday, I think we could be on the home stretch for data. I'll keep my fingers crossed until then.

on the home stretch?Cambridgeオンライン辞書によると、これは、アメリカ英語の表現であり、イギリス英語では、on the home straight、 と使うようですが、意味は、(仕事の)最終部分、追い込み、という意味のようです。

the last part of something that is being done:

例文)It's taken three months, but we're on the home straight now.

イギリス英語は、こういうIdiomをよく使うので、文章を解読するのが一見簡単に見えても、意味を取り違えることも起こりうるので注意が必要です。

Ken

動詞のsport

簡単な表現でも知らない意味というものは結構あります。これはその一例でしょう。



Barefaced Anne Hathaway showcases her flawless complexion as she sports wet hair for early morning workout | Daily Mail Online

She's been hard at work on the set of her new film The Intern.
But Anne Hathaway makes sure to squeeze in her early morning workouts.
The 31-year-old went without make-up and sported wet hair as she left her apartment building on Monday in New York and headed to the gym.

見出しと本文に出てくるsportです。これはごくごく普通の単語ですが、よく知られているのは名詞としてのsport。意味は「スポーツ」ですね。でも、ここでは動詞として使われている。しかも「スポーツをする」じゃあ意味がわからない。さて、辞書を瞥見してみると、例えば『オーレックス英和』(用例と使い方の指南が丁寧でオススメです)だと他動詞で「《口語》…を見せびらかす、誇示する(show off)」という訳語がありました。Oxford Dictionary of Englishですと "[with object] wear or display (a distinctive item)"と定義されています通り、やっぱ「自慢する」感じなんですね。まあ語源となったdisportにも「誇示する」という意味があるので納得ですね。

そんな感じで、超多忙のアン・ハサウェイが早朝にジムへ美しいスッピン顔のまま出かけた。それもちょっと濡れたままの髪を見せびらかす感じでね!というどーでも良い記事です。

Yusuke